読売新聞2006年2月20日の「この街に生きる 川越の巻」で取り上げられました。

記事より

 市場がある松江町で生まれ育った測量会社社長西澤堅さん(65)は「夏休みには、広場で子供会のラジオ体操があって、たくさんの子供が集まった。 ベーゴマや相撲するのに格好の場だった」と思い出す。63年には三国連太郎主演の映画「無法松の一生」のロケ地となり、一目見ようという近隣住民が押し掛けた。
 2001年11月、市場を壊してマンションを建てる計画が町内に伝えられた。西澤さんは「うちの一族には市場創設にかかわった者もいるし、私に とっては子供のころの思い出の場所。歴史的遺物を壊してまで、マンションを建てる必要はない」と、妻真喜子さん(61)と共に市場保存のために動き出し た。

 市場隣のマンションに住むタウン誌編集者藤井美登利さん(44)は、市博物館の展示を見て、初めて市場の歴史を知った。「博物館に展示されるような貴重な建物を壊していいのかと居ても立ってもいられない気持ちになった」と、各方面に保存の必要性を訴えた。

 意気投合した住民たちは、署名活動を行い、取り壊しが始まらないよう、約半年間にわたって交代で市場に詰めて監視した。運動にかかわった同町住民で弁護士小島延夫さん(46)は「取り壊しの危機があったことで市場の価値を再発見できたし、保存運動を通して地域が活 性化した」と振り返る。住民たちの熱意を受け、川越市は地権者から土地を買い取り、市場保存を決定。昨年3月には市の文化財に指定した。

 自治会長として運動をとりまとめたいも菓子店「東洋堂」の戸田喜一郎さん(78)は、「川越の人は古いものを守ろうとする意識が高いんだ」と誇らし気に語る。戸田さんは「将来は織物体験をやったり、織物のお土産を置いて、人を呼び込める拠点にできたらいいな」と思いをはせる。

 復活を待つ市場には住民たちの夢が詰まっている。

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